2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ
フォト

ビジネス

2016年4月17日 (日)

東芝のパソコンはいつからダメになったか

 東芝のパソコン事業の身売り話が迷走している。この数ヶ月で多少リストラが進んだとはいえ、依然として過剰な生産設備や余剰人員を抱えているのでタダでも引き取ってもらえないというところか。

 Dynabookという名前は今では過去の遺物になってしまったが、どのあたりでダメになったのだろうか。

 自分の記憶にあるのは20年近く前。仕事の打合せ相手が持ってくるノートパソコンが、東芝からDellに一斉に置き換えられたこと。会社から貸与されるものだから、設備の入れ替えのタイミングで機種がガラッと変わってしまうのだが、いきなりだったのでビックリさせられた。

 Intelからモバイル向けのチップセットが出始めたころで、ノートパソコンの製品開発がやりやすくなったころでもあった。だが、そういう環境としては東芝もDellも変わりない。打合せ相手が「Dellの方が東芝よりスペックがいい」と言っていたのが印象的だった。Dellの方が製品価格は高かったのだが、大画面LCDパネルなど最新のパーツを採用していて、自分でもちょっとうらやましく感じたものだった。

 それ以降、東芝のパソコンにユーザ視点での先進スペックを感じたことはない。フラッグシップ機の仕様はたいてい周回遅れで、製品ラインにつまらない印象が強くなった。品質がいいかというと、普通に故障する。そこそこシェアがあったので、補修用のパーツの入手性が良かったのが唯一の救いだったか。

 パソコン事業の従業員に何としても立て直そうという気概があるのなら、退職金代わりに自分たちで事業を買い取ればいい。だが、この20年近くの製品の移り変わりを見返してみると、とてもそんな覚悟は出てこないだろうと思う。

2016年4月 6日 (水)

NVIDIAは車載市場から駆逐される

 NVIDIAが主催して開催中のGTC(GPU Technology Conference)の記事が相次いでいるが、テーマはDeep Learningが主題の一つになっている。NVIDIA自身のプレゼンの中でもDeep Learningの適用先として自動運転が大きく取り上げられていて、車載市場に対するNVIDIAの期待の大きさが感じられる。

 だが、はたして車載市場に対してNVIDIAは優位な位置にあるのだろうか。

 その疑問をあらためて感じさせたのが、GTCでMITが発表したEyerissというDeep Learning専用プロセッサの記事。研究用の試作のため古いプロセスで回路規模も制限されているが、300mWという低い消費電力で84GOPSという高い処理性能を実現している。最新のプロセスを使って本気で作りこめば、NVIDIAのGPUと同じ性能を数十分の1の消費電力で実現できることだろう。

 GPUはピーク性能の大きさばかりが注目を集めがちだが、実際にはほとんどの問題では実行効率が極めて悪く、ピーク性能の10分の1も出せればいい方くらいのものでしかない。この実行効率の悪さは、2Wでも渋面される車載のような組み込み用途では致命的で、消費電力が何十ワットもあるNVIDIAのGPUが車載で使われるのは、ごく限られた範囲になることだろう。

 実際のところ、自動運転向けにDeep Learning技術を取り込んだプロセッサは他社からすでにいくつか発表されているし、NVIDIAのGPUと同程度の性能を数十分の1の消費電力で実現しているものがほとんど。NVIDIAとしても、自動運転の市場を取りに行くには、GPUとは別に自動運転向けの専用プロセッサを開発せざるを得ないだろう。

 しかしそうなると、PCやゲーム市場でのGPUによる成功は、車載市場で優位に立つための材料とはなり得ない。ニュースでは華々しく書かれているものの、実際の成功はかなり危ういとみるべきだろう。

 現在NVIDIAのTegraが車載で採用されている例はあるが、いずれも高級車のコックピット用で、ディスプレイやタッチパネルの制御に使われている。Tegraはスマートフォンへの適用を想定して作られているだけに、そのあたりの処理はお手のものということだろう。

 だが、せっかく採用してもらったAudiなんかでも、Qualcommにあっさりリプレースされてしまっている。表示用なんかだとプロセッサ依存の部分は少ないから、そういうものだろう。もともとTegraもスマートフォン市場でQualcommなどとの競争に敗れたことで、車載市場を避難先に見つけたものだ。スマートフォン市場の成長に陰りが出てきた今、Qualcommは車載市場の確保に本気で乗り出している。コックピット用途はスマートフォンに近いので、スマートフォン市場での成功は優位に働く。おそらくコックピット市場では、NVIDIAはQualcommに駆逐されていくことだろう。

2014年9月25日 (木)

Proudly Built in Silicon Valley

"Proudly Built in Silicon Valley"というのが宣伝文句になっている製品がある。

 どうということの無いフレーズなので深い意味は無いのかもしれないのだが、これがつけられたのがコンピューター関連製品ではなくてクルマであるということに、何やら象徴的な意味を感じてしまう。

 とうことで、前回に続けてクルマの話題。

 Renovo Motorsというベンチャー企業がある。Lenovoとは関係ない。ここが8月に電気自動車のスポーツカーを発表した。ほとんどレース用で航続距離が短く一般道での実用性は皆無に近いが、やたら楽しそうだ。

 このスポーツカーの特徴として、馬力やらトルクやらに続けて"Proudly Built in Silicon Valley"というのが並べられている。創業者がIntelとVerisignの元技術者ってのもあるが、シリコンバレーのGeekな仲間たちが寄ってたかって作っちまったぜとでも言いたげに感じる。

 今のシリコンバレーは、ソフトウェアやコンピュータの技術者が、クルマのようなコンピューター以外のハードウェア開発まで手がけて新しい市場を作り出そうとしている。IoT(Internet of Things)というのはその一端だ。

 ソフト屋がハードを手がけるのとハード屋がソフトを手がけるののどっちがいいか。前者の方が圧倒的に容易だろう。ハードの開発生産において分業が高度に発達したおかげで、部品供給業者をうまく使えば必要なハードは簡単に手に入る。非コンピューターのハード屋にとって、ソフトはまだちょっと難しい。
 そんな今の環境で既存のクルマメーカーがどう戦えるかと考えると、なかなか危ういんじゃないかと思ってしまう。

 たった一つのフレーズから妄想を展開してみたが、ホントに変化が始まったら後からじゃ追いつけないくらい速いだろう。既存のクルマメーカーの社員は真剣に考えてた方がいいと思うよ。

トヨタの「ハッカソン」ではクルマは救えない

 今月トヨタが開催したハッカソンに関する日経ビジネスの記事

 「外部の知恵はクルマを救えるか」なんていうサブタイトルがついているので、ついツッコミを入れたくなる。

 「ハッカソン」と称しているが、内容的には企業のPR目的のイベントという感じ。

 記事で紹介されているアプリは、どれも「面白アプリ」の類いであって、実際の車を使った生活の中で必要になると感じさせるものはない。仮に商品化されたとしても、数日間試してみて「ふ~ん」と思うかもしれないがすぐに使わなくなって忘れ去られる程度のもの。

 こういった「面白アプリ」でも、ときには商品企画が勘違いして製品に搭載されてしまうことがある。もちろんそれ自体はカネの取れる独立した製品にはならないので、あくまでオマケ機能として。
 ウチのクルマのナビには、NintendoDSを接続してDSでクイズやら観光地情報やらができるクルマでDSという機能がついているのだが、これもそうした「勘違い機能」の一つ。ほとんどの人には不要なオマケ機能。こんなものに開発予算かけるより、出来の悪い音楽再生機能をもうちょっとどうにかしろよと思ってしまう。

 「面白アプリ」をネタにベンチャー企業を始めようという安易な発想はものすごく多くて、実際にアメリカでは雨後のタケノコのように会社が作られているのだが、大きな資金を集められるものは無く存続できるものはほとんどない。「クルマを救」うためには、ただの「面白アプリ」ではなく、日々のクルマの利用シーンの中で広く使われるものでなくてなならない。

 クルマをターゲットにしたベンチャーというと、古くは電気自動車のテスラがあるし、最近は自動運転が熱い。そこで重要になっているのは、ソフトウェアを中心にしたシステム技術力だ。クルマメーカーが必要としているのは「面白アプリ」のソフトではなく、クルマの本質に関わるソフトだろう。

 まぁ、会社内の商品企画提案でも、本質的な問題を放置したまま小ネタの競い合いになってることが多いので、この「ハッカソン」とは変わりないんだけどね。

 この記事でひとつ気になったのは以下のくだり:

 だが、取材の中でそれ以上に印象的だったことがあった。参加者が各人の立場にとらわれずに、良いアプリを出すために純粋に意見を言い合う自由な雰囲気だ。

 「うるさい人間関係がない会社組織ではないのだから、当然ではないか」、と思われるかもしれない。企業の中で各人が役割分担をすると、どうしても他部署や他人のすることに対して物申せないという遠慮が出るのは自然なことだ。だが、それが結果として仕事の質を落としているかもしれないことに改めて気付かされ、トヨタの関係者からも同様の言葉が聞かれた。

 会社の中だと自由に意見が言えないということだが、これは正しくない。
 企業内であっても、他組織に遠慮があろうが無かろうが、言うヤツは言う。問題は、そういった意見を拾い上げる仕組みや体質がその企業に無いこと。アメリカなら、行動力のあるヤツは意見が通らなければ企業を飛び出してベンチャーを立ち上げる。そうやって社会の活力が維持されていくのだから、それはそれでいいことなんだけど。

 「トヨタの関係者からも同様の言葉が聞かれた」とあるが、はたして問題の本質に取り組むつもりがあるのかどうかが気になるところ。