2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ
フォト

« 2014年12月 | トップページ | 2016年1月 »

2015年5月

2015年5月30日 (土)

自動運転に高精度地図は不可欠か

 自動運転というと、誤差数センチの高精度の地図を使うのがあたりまえというような言い方をする人が多くて、そのたびに違和感を覚える。自分は専門家ではないんだが、気になるので、将来振り返るためにも反対意見を記しておく。

 原則に立ち返って考えると、人間のドライバは高精度地図なんかなくても運転できている。道路の方だって、目で見りゃ運転に必要な情報が得られるように設計されている。知らない場所に行くには、地図を参照したりカーナビに案内してもらうとかいったことが必要になるが、それにしたって高精度の地図なんて必要ない。

 カーナビで自車の位置と地図とのマッチングを取るためにはGPSが使われているが、今のGPSで十分実用になっていて、準天頂衛星システムで実現される1m以下の精度は必要ない。
 もっと言うなら、自車周囲の道路形状を認識して地図と比較することで自車位置を推定すれば、GPSも必要がない。これをやるためには、カメラやLIDARを使って道路形状を取得する必要があるが、コスト高になるのでGPSでやってるだけのこと。自動運転をやるなら、カメラやLIDARで自車周辺を監視するのは必須になり、道路形状だってきっちり取得するはずなので、GPS無しで済ませることは可能だ。

 それじゃなんで高精度地図を使った自動運転が検討されているかというと、車両周辺を認識する技術が未完成であることと、認識処理の実現に必要なプロセッサにかなりの高性能が必要になりそうであることが理由。高精度地図を使えば、道路を認識する処理のかなりの部分をさぼることができるので、実現が容易になるということ。

 つまり、人間並みの認識処理が実現できるなら高精度地図は必要ないのだ。「人間並みの認識」と言っても、人間の脳と同等の認識能力が必要というわけではなくて、あくまで道路を自動車で走るための範囲に限った認識なので、とんでもなく高度な目標ではない。
 最近はDeep Learningという人間の脳の働きに似た認識方式が注目を集めていて、従来型の認識技術より高い精度が可能になっている。問題の範囲を限定するなら、「人間並みの認識」は可能で、うまくいけば自動運転に高精度地図は必要なくなる。

 Googleの自動運転車のインパクトが大きくて、あれが高精度地図を使って実現されてたもんだから、「自動運転=高精度地図」みたいな刷り込みをされた人が多い。業界紙の記者でもそうだし、自動車メーカーの技術者だって専門外の人は誤解してる。その時点での実現の早道だったというだけなのに。

 高精度地図を不要にする認識技術が数年の内に実現されるかどうかは分からない。しかし、Mobileyeなんかは画像認識で道路形状が取得できるようになるから高精度地図は自動運転に必要ないと主張している。Mobileyeの画像認識ソリューションは、大手自動車メーカーに次々と採用されていて抜群の競争力を誇っているところを見ていると、あながち実現可能性が低いとは言えないだろう。

 自動運転の実現に高精度地図も高精度GPSも必要ないとなると、皮算用が水の泡と消える業界がかなりあるんじゃなかろうか。地図屋とか準天頂衛星関連業界とか。
 自動車メーカーについては、認識処理は自動車のごく一部でしかなく、たいていは部品を供給するサプライヤ企業から購入するだろうから、クルマ造りという点でのインパクトは大きくはないだろう。影響があるとすると、市場への投入時期の遅れぐらいか。他社に対して製品化が2,3年遅れるくらい。買い替えサイクルの長い自動車では致命的にはならないだろうが、技術の遅れた会社というイメージが定着しちゃうと地盤沈下は避けられないだろう。

 自動運転車が一般向けに普及し始めるのは2020年以降という見方が多い。コンピュータ関連技術で5年先なんて遠い未来のことだから、自信を持って予測できる人なんていないと思うが、どうなっているか楽しみ。

 このブログも最近はとんとご無沙汰でTwitterで独り言をまき散らしてばかりいるのだが、はたして5年も先に残っているのだろうか。

« 2014年12月 | トップページ | 2016年1月 »