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2009年8月27日 (木)

ネットワークは速くなっていない

  CPUの処理能力は集積度の向上で放っておいてもどんどん上がっていくという妄想を抱いている馬鹿が、つい最近まで技術者の間にもいた。これについては、3,4年前から実際に頭打ちになってきているので、認識は改まりつつある。

 同じような妄想で、ネットワークの高速化・大容量化はどんどん進んでいくので、誰もがハイビジョンクラスの映像を簡単に送受信できるようになる、みたいなのがある。おそらくは、PCに接続するLANの速度が、10Mbps、100Mbps、1Gbpsと順調に向上していて、10Gbpsの声も聞こえているから、素人考えでそんなことを言っているのだと思われる。だが、宅外のネットワークは全然違う。この10年近く、通信速度はほとんど向上していない。

 アクセス網の部分は、メタルからFTTHに変わったことで高速化が進んでいるように見える。だが、技術的には光ファイバで数十Gbpsの通信を行うことは、バックボーンのネットワークでは10年以上前から実用されているのであって、たまたまそれがアクセス網に適用されるようになっただけだ。バックボーンの部分はたいして速くなっていない。Yahoo!BBがADSLのサービスを開始したころ、NTT東西のダークファイバを借りて40Gbpsのリングネットワークを構築していたが、その頃から高速化は進んでいない。
 光ファイバでは、単一波長での通信速度は40Gbpsくらいだが、波長多重を増やせば1本のファイバで送れる容量は増やせる。しかし、これも限界がある。レーザー光を多重化する場合、光素子で重畳や分光が必要になるが、光素子では一定のロスは避けられない。このロス分は熱になるが、多重化する光信号の数を増やすと、比例して発熱が増大し、ついには光素子が溶けてしまう。波長多重の限界はすでに見えている。となると、容量を増やすためには、結局は物理的に光ファイバの本数を増やすしかない。

 技術の進歩で10倍、10倍と改善されるのは指数的だが、物理的に光ファイバの本数を増やすのは設備の追加であって直線的な増加だ。コストも比例してかかる。だから、バックボーンの容量というのは、簡単には増やせない。ユーザが支払う料金が増えていかないのだから、設備の増強も簡単にはできない。ついこの間まで音声信号しか通してなかったのに、いきなり2桁も上のハイビジョン映像を誰でも送れるようになるわけがない。そのためには、膨大な設備増強が必要であって、ユーザがそのコストを負担をする必要がある。

 高価で小容量のメタルケーブルやマイクロウェーブ通信施設を光ファイバに置き換えることで大幅なコストダウンができる。そのため、バックボーンでは光ファイバの敷設が一気に進んだ時期があった。ただ、音声通信にはあまりにも大容量すぎたため供給が需要を大幅に上回り、自由化の進んでいた北米では値下げ競争が激化して、AT&Tも含む長距離通信事業者が軒並み倒産したり経営が傾いたりしたのだが。
 これまでのバックボーンの高速化は、そういった余剰設備を活用してきたものだ。ここにきて余剰設備が尽きてしまい、さらなる大容量化のためには新たな設備投資が必要になっている。ハイビジョン映像の送受信をしたいのなら、相応の費用負担をしなければならないのだ。余剰設備の活用による低料金に慣れきったユーザが、そんな負担を受け入れるわけがない。

 NTTのNGNの特徴として、帯域保証された通信というのが挙げられることが多い。だが、上に書いたような事情で、大容量の通信に帯域保証をすると料金を高く設定しないことには商売にならない。とても誰でも気軽に使えるようにはならないのだ。一般ユーザ向けのブロードバンドサービスとしては、NGNで価値があるのは認証機能であって、通信は帯域保証ではなくベストエフォートクラスをいかに使いこなすかを考えなくてはならない。

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